お問い合わせに大変多いのが、水の輪じみに関するご相談です。
お着物についたしみを、ご自分で落とそうと水を使いしみ抜きをした結果、
しみもうまく取れず、さらには水の輪じみを作ってしまうというケースが多く、
直せますかというご相談をよく頂きます。
お着物にできた水の輪じみは、ついたばかりであれば問題なく直すことができます。
下の写真のようなソフトボールくらいの大きさで、修整代は 3,000円前後になります。
水の輪しみを悉皆店に相談すると、必ずスレがないか確認されます。
「水しみにスレはありますか?」と聞かれても、何のことだか分かりませんよね。
スレとは、摩擦により生地が毛羽立っている状態です。
着物は水を含んだ状態だと摩擦に弱く、大変スレやすいです。
上の写真のしみの真ん中に白い跡がありますね、これはスレになります。
しみを取ろうと水をつけこすってしまった結果、輪じみとスレができてしまったようです。
黒留袖や喪服の脇や背中の白い変色も、汗の水分を含んで摩擦が生じた時にできたスレです。
このスレを直す為には、色をかけ生地を整えるスレ直しをしなければなりません。
水しみもこの作業が必要になると、別途スレ直し代が加算されます。
正面から見るとあまり分からないスレも、
角度を変えると次の写真のように広範囲にすれているのが確認できます。
スレは状態によっては完全には直せない場合がございますので、水がついた生地はこすらないようご注意下さい。
また、ご自宅でできる着物しみ抜き講座などありますが、着物のしみ抜きは技術が必要です。
大切なお着物のためにも、ご自分では手を加えず、プロにお任せ下さい。