黄変抜きレポート

写真は、汗じみが生地の変色を起こした状態です。

汗じみが変色した着物

このような変色じみは、洗っただけでは綺麗になりません。
このブログをご覧になっている方はご存知と思いますが、お直しをするには「黄変抜き」という加工が必要になります。

汗に限らず、付いた汚れをそのままにしておくと、生地が変色してきます。
付いて間もない汚れは、汚れを落とすだけで綺麗になりますが、時間の経った汚れは変色じみになっているため、汚れを落とすのではなく変色を直す作業になります。

特殊な薬品を使い生地の変色を抜きます。

着物により様々ですが、地色も抜けてしまうために色を挿す作業が必要になります
変色を抜く作業は手間がかかり、色を挿す作業は経験が必要です。
とても古いお着物でしたので、変色を抜いたらその部分だけ綺麗になりすぎました。

綺麗に抜けてしまった部分を他の部分と同じように色目を整えています。
丸く色が抜けているのがわかりますね。

黄変抜き加工レポート

黄変抜きは、変色を抜いた部分の色を挿す作業が肝心な為、技術と経験が必要です。
上の写真で使っているのは、エアーブラシという染料を吹きかける道具です。
おもに色のヤケ直しで使用します。

仕上げに筆を使い整えます。
今回はエアーブラシを使いましたが、基本は筆です。

黄変抜きした後の着物に筆で色差し

汗じみがなくなりました。

黄変抜き後の着物

となりで見学していた私も、職人の技には驚かされました。
一家に一台欲しいですね 笑

ご覧の通り、「黄変抜き」はとても手間がかかります。
加工代が高額になるのもわかって頂けたかと思います。
変色じみになる前に、汚れは落としましょう。

必ず黄変が綺麗に直るわけではなく、お直しが難しい場合は柄や刺繍で隠したり、染め替えをご提案したりするケースもあります。
当時付いたのがわからないしみも、定期的にお着物を干して汚れのチェックしていれば、手遅れになる前にお直しができます。

すでに変色しみにお困りの方は、「洗いの匠」をご利用ください。

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